介護福祉士は介護従事者のための国家資格であり、介護の専門性を証明することができる国家資格としてその価値は非常に大きなものになります。
その介護福祉士資格を取得するためのルートは、平成29年度の制度改正に伴い、大幅に変更になりました。
これは介護福祉士がプロフェッショナルとしてより高い専門性を発揮できるよう、カリキュラムを改変したことによるもので、筆記試験免除がなくなりました。
それらを解説していきたいと思います。
大学・専門学校・短期大学などで資格を取得するのがこちらの方法。
現場での介護の実務経験が無くとも、講義や実習を通して資格を取得できるため、
介護の仕事を志す学生がこの方法での資格取得を目指しています。
平成28年度卒業生までは筆記試験の必要なく卒業をもって介護福祉士として登録することができましたが、
平成29年以降の卒業の場合は筆記試験の合格が必須条件となりました。
介護福祉士養成施設については、介護福祉士養成施設協会のホームページからお近くの施設を探してみてください。
この養成校コースのメリットとしては、時間をかけて体系的な学習を積み重ねていくことができることでしょう。
また、実技試験も免除となります。
介護の現場で実務経験を積んで、国家試験の受験資格を得るのがこの方法です。
以下の条件下での実務経験で受験資格を得ることができます。
(1)次に該当する者として、介護等の業務に3年以上従事した者
- 児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する知的障害児施設、知的障害児通園 施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設及び重症心身障害児施設の入所者の保護に直接従事する職員(児童指導員、職業指導員、心理指導担当職員、作業療法士、理学療法士、聴能訓練担当職員及び言語機能訓練担当職員並びに医師、看護師その他医療法(昭和23年法律第205号)に規定する病院として必要な職員を除く。)並びに児童福祉法第27条第2項の委託を受けた施設の保育士及び看護補助者
- 障害者自立支援法(平成17年法律第123号)附則第41条第1項の規定によりなお従前の例により運営をすることができることとされた同法附則第41条第1項に規定する身体障害者更生援護施設(同法附則第35条の規定による改正前の身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第29条に規定する身体障害者更生施設、同法第30条に規定する身体障害者療護施設及び同法第31条に規定する身体障害者授産施設に限る。)、障害者自立支援法に規定する地域活動支援センターを行う事業所又は障害者支援施設の従業者のうち、その主たる業務が介護等である者
- 生活保護法(昭和25年法律第144号)に規定する救護施設及び更生施設の介護職員
- 老人福祉法(昭和38年法律第133号)に規定する老人デイサービスセンター、老人短期入所施設及び特別養護老人ホームの介護職員
- 障害者自立支援法に規定する障害福祉サービス事業のうち居宅介護、重度訪問介護、行動援護、生活介護、児童デイサービス、短期入所、共同生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援(重度障害者等包括支援において提供される場合を含む。)若しくは共同生活援助又は療養介護を行う事業所のうち、その主たる業務が介護等である者
- 指定訪問介護(介護保険法(平成9年法律第123号)第41条第1項に規定する指定居宅サービス(以下「指定居宅サービス」という。)に該当する同法第8条第2項に規定する訪問介護をいう。)又は指定介護予防訪問介護(介護保険法第53条第1項に規定する指定介護予防サービス(以下「指定介護予防サービス」という。)に該当する同法第8条の2第2項に規定する介護予防訪問介護をいう。)の訪問介護員等
- 指定通所介護(指定居宅サービスに該当する介護保険法第8条第7項に規定する通所介護をいう。)若しくは指定介護予防通所介護(指定介護予防サービスに該当する同法第8条の2第7項に規定する介護予防通所介護をいう。)又は指定短期入所生活介護(指定居宅サービスに該当する同法第8条第9項に規定する短期入所生活介護をいう。)若しくは指定介護予防短期入所生活介護(指定介護予防サービスに該当する同法第8条の2第9項に規定する介護予防短期入所生活介護をいう。)を行う施設(老人デイサービスセンター及び老人短期入所施設を除く。)の介護職員
- 指定訪問入浴介護(指定居宅サービスに該当する介護保険法第8条第3項に規定する訪問入浴介護をいう。)又は指定介護予防訪問入浴介護(指定介護予防サービスに該当する同法第8条の2第3項に規定する介護予防訪問入浴介護をいう。)の介護職員
- 指定夜間対応型訪問介護(介護保険法第42条の2に規定する指定地域密着型サービス(以下「指定地域密着型サービス」という。)に該当する同法第8条第15項に規定する夜間対応型訪問介護をいう。)の訪問介護員
- 指定認知症対応型通所介護(指定地域密着型サービスに該当する同法第8条第16項に規定する認知症対応型通所介護をいう。)又は指定介護予防認知症対応型通所介護(同法第54条の2第1項に規定する指定地域密着型介護予防サービスをいう。以下「指定地域密着型介護予防サービス」という。)に該当する同法第8条の2第15項に規定する介護予防認知症対応型通所介護をいう。)を行う施設(老人デイサービスセンターを除く。)の介護職員
- 指定小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型サービスに該当する同法第8条第17項に規定する小規模多機能型居宅介護をいう。)又は指定介護予防小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型介護予防サービスに該当する同法第8条の2第16項に規定する介護予防小規模多機能型居宅介護をいう。)の介護従業者
- 指定認知症対応型共同生活介護(指定地域密着型サービスに該当する介護保険法第8条第18項に規定する認知症対応型共同生活介護をいう。)又は指定介護予防認知症対応型共同生活介護(指定地域密着型介護予防サービスに該当する同法第8条の2第17項に規定する介護予防認知症対応型共同生活介護をいう。)の介護従業者
- 指定通所リハビリテーション(指定居宅サービスに該当する介護保険法第8条第8項に規定する通所リハビリテーションをいう。)若しくは指定介護予防通所リハビリテーション(指定介護予防サービスに該当する同法第8条の2第8項に規定する介護予防通所リハビリテーションをいう。)又は指定短期入所療養介護(指定居宅サービスに該当する同法第8条第10項に規定する短期入所療養介護をいう。)若しくは指定介護予防短期入所療養介護(指定介護予防サービスに該当する同法第8条の2第10項に規定する介護予防短期入所療養介護をいう。)を行う施設の介護職員
- 指定特定施設入居者生活介護(指定居宅サービスに該当する介護保険法第8条第11項に規定する特定施設入居者生活介護をいう。)、指定地域密着型特定施設入居者生活介護(指定地域密着型サービスに該当する同法第8条第19項に規定する地域密着型特定施設入居者生活介護をいう。)又は指定介護予防特定施設入居者生活介護(指定介護予防サービスに該当する同法第8条の2第11項に規定する介護予防特定施設入居者生活介護をいう。)を行う施設の介護職員
- 老人福祉法に規定する養護老人ホーム、軽費老人ホーム及び有料老人ホーム並びに介護保険法に規定する介護老人保健施設その他の施設であって、入所者のうちに身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者を含むものの職員のうち、その主たる業務が介護等の業務である者、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)に規定する障害福祉サービス事業のうち短期入所を行う施設、障害者支援施設、地域活動支援センター、同法附則第48条の規定によりなお従前の例により運営することができることとされた同条に規定する精神障害者社会復帰施設(同条の規定による改正前の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第50条の2第1項第一号に規定する精神障害者生活訓練施設、同項第二号に規定する精神障害者授産施設及び同項第四号に規定する精神障害者福祉工場)、同法附則第58条第1項の規定によりなお従前の例により運営をすることができることとされた同法附則第58条第1項に規定する知的障害者援護施設(同法附則第52条の規定による改正前の知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)第21条の6に規定する知的障害者更生施設及び同法第21条の7に規定する知的障害者授産施設及び同法第21条の8に規定する知的障害者通勤寮)、身体障害者福祉工場、福祉ホーム、独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法(平成14年法律第167号)の規定により独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園が設置する施設又は隣保館(「隣保館の設置及び運営について」(平成14年8月29日付け厚生労働省発社援第0829002号)別紙1(隣保館デイサービス事業実施要綱)に基づく隣保館デイサービス事業を行っているものに限る。)及び知的障害者福祉工場の職員のうち、その主たる業務が介護等の業務である者を含む。
- 介護保険法第48条第1項に規定する指定介護療養型医療施設であって、同法第8条第26項に規定する療養病床等により構成される病棟又は診療所(以下「病棟等」という。)における介護職員等その主たる業務が介護等の業務である者
- 老人保健法の規定による医療に要する費用の額の算定に関する基準(平成6年3月厚生省告示第72号)別表第1(老人医科診療報酬点数表)において定められた病棟等のうち、介護力を強化したもの(同告示に基づき、都道府県知事に対し、「老人病棟老人入院基本料(1~4)」、「老人性認知症疾患療養病棟入院料」又は「診療所老人医療管理料」の届出を行った病棟等をいう。)において看護の補助の業務に従事する者であって、その主たる業務が介護等の業務であるもの
- 医療法(昭和23年法律第205号)第7条第2項第一号に規定する精神病床により構成される病棟等、同条同項第四号に規定する療養病床により構成される病棟等(タ及びチに定める病棟等を除く。)及び同条同項第五号において規定する一般病床により構成される病棟等において看護の補助の業務に従事する者のうち、その主たる業務が介護等の業務であるもの
- ハンセン病療養所における介護員等その主たる業務が介護等の業務である者
- 介護等の便宜を供与する事業を行う者に使用される者のうち、その主たる業務が介護等の業務であるもの
なお、「介護等の便宜を供与する事業」は、次のような事業であること。
(ア)法令又は国が定める通知に基づかず、地方公共団体が定める条例、実施要綱等に基づいて行われる事業であって、介護等の業務を行っているもの
(イ)介護保険法第42条第1項第2号に規定する基準該当居宅サービス(以下「基準該当居宅サービス」という。)又は同法第54条第1項第2号に規定する基準該当介護予防サービス(以下「基準該当介護予防サービス」という。)を行う事業
(ウ)障害者自立支援法第30条第1項第2号に規定する基準該当障害福祉サービスを行う事業
(エ)社会福祉協議会、福祉公社、消費生活協同組合、農業協同組合、特定非営利活動法人等非営利法人が実施する事業(これらの法人から当該事業の実施について委託を受けた者によって実施される場合を含む。)であって、介護保険法第41条第1項に規定する指定居宅サービス若しくは基準該当居宅サービス、同法第42条の2第1項に規定する指定地域密着型サービス、同法第53条第1項に規定する指定介護予防サービス若しくは基準該当介護予防サービス又は同法第54条の2第1項に規定する指定地域密着型介護予防サービスに準ずるもの
(オ)社会福祉協議会、福祉公社、消費生活協同組合、農業協同組合、特定非営利活動法人等非営利法人が実施する事業(これらの法人から当該事業の実施について委託を受けた者によって実施される場合を含む。)であって、障害福祉サービス事業に準ずるもの- 個人の家庭において就業する職業安定法施行規則(昭和22年労働省令第12号)附則第4項に規定する家政婦のうち、その主たる業務が介護等の業務である者
- 財団法人労災サポートセンターが委託を受けて運営する労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)第29条第1項第2号に基づき設置された労災特別介護施設の介護職員
- 「重症心身障害児(者)通園事業の実施について」(平成15年11月10日付け障発第1110001号)別紙(重症心身障害児(者)通園事業実施要綱)に基づく「重症心身障害児(者)通園事業」を行っている施設の入所者の保護に直接従事する職員(施設長、医師、看護師、児童指導員及び理学療法、作業療法、言語療法等担当職員を除く。)
- 「在宅重度障害者通所援護事業について」(昭和62年8月6日付け社更第185号)別添(在宅重度障害者通所援護事業実施要綱)に基づく「在宅重度障害者通所援護事業」を行っている施設の職員のうち、その主たる業務が介護等の業務である者
- 「知的障害者通所援護事業助成費の国庫補助について」(昭和54年4月11日付け児第67号)別添(知的障害者通所援護事業実施要綱)に基づく「知的障害者通所援護事業」を行っている施設の職員のうち、その主たる業務が介護等の業務である者
- 「地域生活支援事業の実施について」(平成18年8月1日付け障発第0801002号)別紙1(地域生活支援事業実施要綱)別記4に基づく「移動支援事業」、別記6(4)に基づく「身体障害者自立支援事業」、別記6(9)に基づく「日中一時支援事業」、別記6(10)に基づく「生活サポート事業」又は別記6(12)に基づく「経過的デイサービス事業」を行っている施設の職員のうち、その主たる業務が介護等の業務である者(別記6(3)に基づく「訪問入浴サービス事業」の介護職員を含む。
- 「地域福祉センターの設置運営について」(平成6年6月23日付け社援第74号)別紙(地域福祉センター設置運営要綱)に基づく地域福祉センター職員のうち、その主たる業務が介護等の業務である者
- 「原子爆弾被爆者養護ホーム入所委託要綱及び原子爆弾被爆者養護ホームの運営に関する基準について」(昭和63年12月13日付け健医発第1414号)に基づく原子爆弾被爆者養護ホームの介護職員
- 「原子爆弾被爆者養護ホームにおける原子爆弾被爆者デイサービス事業の実施について」(平成5年7月15日付け健医発第765号)に基づく「原子爆弾被爆者デイサービス事業」又は「原子爆弾被爆者養護ホームにおける原子爆弾被爆者ショートステイ事業の実施について」(平成5年7月15日付け健医発第766号)に基づく「原子爆弾被爆者ショートステイ事業」を行っている施設の介護職員
- 「原爆被爆者家庭奉仕員派遣事業について」(昭和50年9月19日付け衛発第547号)別添(原爆被爆者家庭奉仕員派遣事業運営要綱)に基づく「原爆被爆者家庭奉仕員派遣事業」の原爆被爆者家庭奉仕員
(2)次のいずれかに該当する者
- 学校教育法(昭和22年法律第26号)による高等学校又は中等教育学校(専攻科及び別科を除く。)において社会福祉士及び介護福祉士法施行規則等の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第42号)第1条の規定による改正前の施行規則(以下「旧施行規則」という。)別表第1に定める教科目及び単位数を修めて卒業した者(平成23年3月31日までに卒業する見込みの者を含む。)
- 学校教育法による高等学校又は中等教育学校において旧施行規則別表第1に定める教科目及び単位数を修めて、同法第90条第2項の規定により大学への入学を認められた者
- 学校教育法による高等学校又は中等教育学校の専攻科(修業年限2年以上のものに限る。)において旧施行規則別表第2に定める科目及び単位数を修めて卒業した者
注意しなければならない点としては、児童施設では受験資格を得ることのできないケースが多いということです。
同じ児童施設でも、重症心身障害児(者)施設では、その施設上の特性から
介護業務の比重が高く、介護福祉士の受験資格が認められているなど、
施設の種別や実務の内容によって、カウントされるものとそうでないものがあります。
上記に該当しなかった場合や疑問に思った場合は、勤務先に問い合わせてみてください。
また、従業期間3年でかつ、従事日数540日以上が勤務経験としての条件になりますので、こちらも勤務先に確認をしておきましょう。
そして、平成28年度からは実務経験だけでは受験資格を満たさなくなったため、実務者研修の受講が必要になりました。
実務者研修養成施設での研修を修了しなければ介護福祉士の国家試験を受験することができません。
これには費用も当然掛かりますし、研修期間も規定では6か月と必要になります。
通信のカリキュラムにすることで、7日間程度のスクーリング+自宅学習で修了できる養成施設もありますので、ぜひ確認しておきましょう。
また、実務者研修以外に、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修をあわせて受講することで受験資格を満たす場合もありますが、
この介護職員基礎研修という研修自体が平成24年で廃止になっていますので、あまり該当される方はいないかもしれません。
この場合も筆記試験は当然必要になりますが、実技試験は免除となります。
これに加えて、福祉系高校を卒業して筆記試験を受けるルートと、EPA(経済連携協定)でインドネシア・フィリピン・べトナムから来日している方が取得するルートがあります。
福祉系高校卒業をされた方とEPAで来日されている方の場合、介護技術講習(か実務者研修)を受講しない場合は実技試験を受けなければいけません。
このように受験資格と一言にいっても、非常に多岐にわたります。
介護福祉士の国家資格については、介護の基礎資格にという方針となったものの、介護の人材は圧倒的に不足する一方で、介護を目指す若い学生も少なくなっているというのが現状です。
こういった紆余曲折を経て、複雑な介護福祉士養成ルートが出来上がってきたという印象です。
介護福祉士を目指す人はどのルートでの合格を目指すのか、また、今後介護の仕事を目指す学生の皆様はどのようなプランを描いていくのか、
しっかり確認をしておきましょう。
※平成30年1月 加筆・訂正