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第31回介護福祉士国家試験過去問題 介護過程

介護過程

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題 61

介護過程の目的に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 利用者の自立を支援する。
2 画一的に介護を実践する。
3 介護福祉職の尊厳を保持する。
4 家族介護者の自己実現を図る。
5 経験則に基づいて介護を実践する。

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正解:1

これは1ですね。

画一的ではなく、個別性を重視する。もう画一的とか出てきた時点で、これはないなと考えた方がいいですね。

尊厳の保持も大事ですけど、あくまで利用者の尊厳保持。もちろん、介護職の尊厳や安全などが脅かされる場面もありますので、それは守られなければいけないのですが、あくまでこれは介護福祉士の試験ですので、利用者を優先に。なんだか、業務上介護福祉職にはとことんまで自己犠牲を目指せという古すぎる考え方でこういった問題は作っていると思った方がいいと思います。

4は悩むところですけどね。家族介護者が介護だけに追われてストレスをためている様子を見ている介護職としては、これも重要だと思います。けれど、利用者の自己実現がまず優先されるべきですね。利用者家族の自己実現を支援するのではなく、利用者の支援を通して、利用者家族が自分の時間を持つことや心にゆとりを持てるようになることが理想ですね。

ということで、1が正解。自立支援は今後もキーワードとして重要になります。

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題62

利用者の情報収集における留意点として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 生活歴は,介護福祉職の主観的判断を優先する。
2 生活機能は,他職種からの情報も活用する。
3 発言内容は,介護福祉職の解釈を加える。
4 経済状況は,近隣住民の情報から推測する。
5 心身機能は,利用者への聞き取りによって判断する。

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正解:2

主観的な情報なども必要ですが、それは利用者の主観的な情報などで、介護福祉職の主観ではありません。なので、1は誤り。

発言内容を記録に残すように指導されることも多いと思いますが、その場合は言葉をそのまま書き残すことが推奨されています。なので、解釈ではなく、客観的な情報として発言内容を記録することが重要です。

経済状況を近隣住民から聞き取っていたら怖いですよね。たとえ本人の同意を得ていたとしても、これはダメでしょう。

心身機能については、本人の聞き取りも大事ですが、医療機関からの情報などの客観的情報も含めて総合的に判断することが必要ですね。

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題63

生活課題の優先順位を決定する上で,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 利用者が要望する頻度の多いものから決定する。
2 介護福祉職が評価しやすいものから決定する。
3 家族の負担が大きく軽減するものから決定する。
4 緊急性が高いものから決定する。
5 課題に取り組む準備期間が短いものから決定する。

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正解: 4

これは緊急性が高いものからですね。

生命の危機にある利用者がいる場合もあります。あくまで緊急性を判断して、そこから生活課題を決定しなければいけません。

食事がとれていない。水分が取れない。発熱がある。転倒して受傷した。意識が混濁している。

いろんな状況の対応を求められるのが介護福祉職です。

まずは緊急性をしっかり判断し、次の行動に移していけることが重要ですね。

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題64

介護計画を実施するときの留意点として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 介護計画の遂行自体を目的にする。
2 実施内容は個々の介護福祉職に任せる。
3 介護福祉職の満足度を基に継続を判断する。
4 介護計画の変更内容の説明は省略する。
5 利用者の反応や変化を観察する。

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正解:5

計画の実施についての問題ですね。

介護福祉職が主体になってしまっているものがあるので、そこは注意しましょう。1の計画の遂行自体を目的にするもの、3の介護福祉職の満足度を基準にするものなどは誤りですね。

計画の実施を通して、利用者にどのような変化が得られたかが重要ですね。

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題65

Gさん(79歳,男性)は認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居している。短期目標を「なじみの店で買物ができる(2か月)」として,月3回の買物を計画し実施した。初回は順調であったが,2回目にレジで後ろに並ぶ人から,「遅い,早くして」と言われて,H介護福祉職が支払った。GさんはH介護福祉職に,「ほしい物を選んでも,自分で支払わないと買った気にならん」と言い,その後,楽しみにしていた買物に行かなくなった。

ICF(International Classification of Functioning,Disability and Health:国際生活機能分類)の視点に基づいて介護計画の内容を見直すにあたり,最も配慮すべき構成要素を1つ選びなさい。

1 身体構造
2 個人因子
3 心身機能
4 環境因子
5 活動

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正解:4

出ました、ICF問題です。

じゃあ、何を改善するべきかを考えていきましょう。

1の心身構造を改善する。身体の構造といっても別に欠損も麻痺もないですよね。

2の個人因子。本人が欲しいもの・買いたいものを変える。買い物の行先を変える。ゴールにはならないですよね。

3の心身機能。これ1と同じカテゴリーですね 。認知症を治療する、なんてことはないですよね 。

5の活動。活動は活動ですけど、ここでいう活動は生活行為を意味しているので、ここでの活動には当たりません。

ということで4ですね。

具体的にはどうするかというと、周囲の理解を求めたり、スーパー側に隣のレジを開けてもらうとか、そういった協力を求めていくことも大事ですよね。

次の事例を読んで,問題 66,問題 67 について答えなさい。

〔事 例〕
Jさん(71歳,男性)は20歳から造園業を営んでいた。2か月前に脚立から転落して,右大腿骨頸部骨折(femoral neck fracture)で入院した。骨折部位は順調に回復し,下肢機能訓練により杖歩行も可能であると診断されている。しかし,訓練への参加は消極的であり,入院中は車いすで過ごしていた。退院後は自宅で過ごしたいという希望から,下肢筋力に対する機能訓練で5日前に介護老人保健施設に入所した。

入所後のJさんは,日中のほとんどをベッド上でテレビを見て過ごしている。排泄に関する移乗を依頼する以外に職員に話しかけることはなく,食事をしていても他者との会話はみられない。Jさんの表情が穏やかなときに歩行訓練に参加を促すが,「ああ,うん…」と言うだけで訓練に参加していない。

面会に来た妻によると,Jさんは,「施設で訓練しても歩けるようになるはずはない」と話していたということだった。また,妻は,「仕事が大好きで,仕事ができないことに相当落ち込んでいるようだ」と話した。

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)問題 66

Jさんに対する長期目標の方向性として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 病院で機能訓練をすること
2 施設での生活に慣れること
3 造園業に再び携わること
4 話し相手を見つけること
5 新しい趣味を見つけること

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正解:3

仕事が生きがいなんですね。いつかまた造園業に携われるようになることを長期的な目標にすることが重要ですね。短期目標ではなく、長期目標を設定して、そこから逆算して短期目標を設定していきます。何メートル歩けるようになるがゴールじゃありません。

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題67

在宅復帰を目指すJさんに対する短期目標を,「外出することができる(1週間)」とした。
短期目標に基づく支援内容として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 車いすで20~30分過ごしてもらう。
2 歩行器の使用を促す。
3 下肢を1日1 回外転する。
4 トイレへの移乗訓練を行う。
5 骨折部位の回復を確認する。

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正解:1

現時点で何も機能訓練していないんですね。

ということで、最初のスタートとしての支援内容は、まず剤で過ごす時間を作るというところになりますね。

まあ、こんな放置でいい老健があっていいわけがないのですけれど。

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題68

Kさん(82歳,女性)は,身寄りがなく自宅で一人暮らしをしている。週1回利用している通所介護(デイサービス)で送迎を担当しているL介護福祉職は,Kさんから,「この間,いつもより膝の痛みが強くなって玄関で立てなくなった。ちょうど民生委員さんが来てくれて,一緒に受診して痛みは治まったの。医師から膝は痛むことがあるが生活に支障はないと言われたけど,いつまでこの家にいられるかしら」と打ち明けられた。その日の夕方,自宅へ送った時にKさんは,「施設の生活はにぎやかで,さぞ楽しいでしょうね」と話して,涙ぐんだ。発言を受けて,その場で本人の同意を取り,翌日,事業所内のカンファレンス(conference)が行われた。

L介護福祉職が話す内容として,最も優先すべきものを1つ選びなさい。

1 膝の痛みがなくならない理由
2 身寄りがないこと
3 施設に入所するタイミング
4 玄関で活用できる福祉用具
5 在宅生活の継続への不安

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正解:5

医師からは生活に支障はないといわれているということで、Kさんが持っている不安要素を取り除くことで在宅生活をより長く継続できるように支援していくと。そのための方向性を定めていくことがポイントになるでしょうね。

ってか、それはケアマネがやるべきじゃないのか。

こういうところで役割の混同があってはいけないと思いますけどね。

介護過程のワンポイント

介護過程は、アセスメント・計画作成・実施・評価という流れをどう回していくかというのが問われます。

アセスメントにはどのような情報が必要なのか、その情報性は客観的で正確な情報なのか。本人の思いはどうなのか。

どのような計画を立てるのか、長期目標は本人の個別性を十分反映したものになっているのか。

実施では介護職の独りよがりな実施になっていないか、記録は客観的な内容で記載されているか。

評価では、新しい課題への対応、次の計画への展開など。

介護過程の中のどのフェーズなのかを意識して問題を読み解いてみましょう