サイトアイコン 介護福祉士国家試験合格オンライン

第31回介護福祉士国家試験過去問題 生活支援技術

生活支援技術

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題35

下記のマークが表しているものとして,正しいものを1つ選びなさい。


1 肢体不自由のある人が運転する自動車
2 障害者が利用できる建物,施設
3 義肢や義足などで援助や配慮を必要としている人
4 オストメイトであること,オストメイトのための設備があるトイレ
5 障害者の就労支援に取り組んでいる企業

正解を見る

正解:4

これは見たままですね。

おなかに十字のマークがありますが、これが腹部の人工肛門(=ストーマ)を意味していますね。

人のおなかがポイントであることに気が付けば難しくないのかもしれません。

ちなみに3はヘルプマークです。

見たことある人もいるかもしれません。

東京都福祉局ホームページより

書いてある通り、援助が必要な方のためのマークです。

ちなみに、最近、逆ヘルプマークというものもあるようです。必要な時には声をかけてね、という意味なんだそうです。相手側も声をかけやすくなりますよね。

 静岡市の小学生らが、障害者や困っている人たちに「協力が必要なときは声をかけて」という気持ちを示すための「逆ヘルプマーク」を発案した。
- 中日新聞 CHUNICHI Web


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題36

Aさん(38歳)は,共同生活援助(グループホーム)に入居している。料理が得意で,普段はエプロンを身に着けて揚げ物料理をガスコンロで作っている。
防火を意識した調理支援に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 調理材料は,ガスコンロの周辺に置く。
2 調理をするときは,袖口を絞った衣類を着てもらう。
3 調理に時間がかかるときは,鍋から離れてもらう。
4 火災警報器は,床に近い部分に設置する。
5 強い火力で調理してもらう。

正解を見る

正解:2

防火を意識した調理支援という問題ですね。

火が燃え移るのは危険ですからね、これは2番が正解ですね。

1番は便利かもしれないけれど防火を意識したっていう問題文に気が付けば間違いだとわかりますよね。

3番は鍋から離れちゃいけないって、これは小学生でも知ってますよね。

4番は火災報知機についての問題です。煙は下から上に上がりますので、火災報知器は天井に設置します。

5番は、火力が必要な料理もあるでしょうけれどね、問題の意図としては外れていますので、これも誤りです。

消去法で見ても正解は2番しかないでしょうね。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題37

歩行が可能な脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration)の高齢者の転倒予防に留意した環境整備に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 弾力性が高い床材を使用する。
2 洋式トイレの予備のトイレットぺーパーは足元に置く。
3 頻繁に移動する場所には手すりを取りつける。
4 調理用具は,頭上のつり棚に収納する。
5 いすにキャスターをつける。

正解を見る

正解:3

もう脊髄小脳変性症の症状といえば運動失調によるふらつき、と覚えておきましょう。

ふらつきを防いだり、ふらついても転倒しないようにするための住宅環境をイメージするといいと思います。

1番のような弾力性の高い床材というのも歩きにくさにつながりますので、これは望ましくありません。

難病情報センターのホームページには脊髄小脳変性症の転倒予防について、このように書いてあります。

・ 不自由ながら歩行が可能な方は転ぶことを常に考えて下さい。

・ 自分でやりたいことでも助けを借りる慎重さが必要です。

・ 車椅子の方でもトイレ、ベッド、椅子などに移動する時は特に用心しましょう。目測を誤り車椅子から転落することがあります。

・ 痙性脊髄麻痺の方はご自分の四肢・体幹の状態が判らないことがあります。暗い所は不安定になりますから避けましょう。

・ バランスを失ったときに転ばないように手すりを設置するなど環境を整えましょう。

・ 下肢の筋力増強・保持に努めましょう。

・ よく転ぶ方は担当の先生、理学療法士の先生の助言を参考にしましょう。

病情報センター

ということで、バランスを失ったときに転ばないようにするという意味で手すりの設置などで環境を整えることが必要と書いてあります。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題38

介護福祉職が行う身じたく・整容の支援と使用する道具の組合せとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ベッド上での口腔ケア――ガーグルベースン
2 浴室での洗髪――――――ドライシャンプー
3 総義歯の洗浄――――――歯磨剤
4 耳垢(耳あか)の除去――ピンセット
5 ベッド上での洗顔――――冷水で絞ったタオル

正解を見る

正解:1

正解は1です。

ガーグルベースンって何?っていう人、これです。

ガーグルベースだと思ってた。ガーグルベースンというから別のものかと思った!なんて人もいるかもしれません。

そもそもガーグルベースなのか、ガーグルベースンなのか。

どっちでもいいっていう話ですが。

うがい受けとか、いろんな言い方をしている施設もあるようですけれど。

2番、浴室での洗髪で、なんでドライシャンプー使うの?ってびっくりした人もいるかもしれませんね。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題39

ベッド上で臥床したままの利用者に行う和式寝衣の交換の介護に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 袖を抜くときは手→肘→肩の順で行う。
2 脱いだ寝衣を広げ,その上に新しい寝衣を重ねて広げる。
3 利用者の脊柱と新しい寝衣の背縫いの部分を合わせる。
4 左前身頃の上に,右前身頃を重ねる。
5 腰紐は結び目が背中に回るように結ぶ。

正解を見る

正解:3

なんだか実技試験をそのまま問題にしているんじゃないかというような問題ですね。

1番の袖を抜くときは方から脱ぎますね。

3番が正解なのですが、イメージとしては側臥位にして、背中を見ながら、背骨と寝衣の背中の真ん中を合わせるということですね。背中を中心に服を合わせるということ。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題40

入居施設で生活する利用者が車いすを使用して外出するときに,介護福祉職が計画,準備することとして,最も優先すべきものを1つ選びなさい。

1 長時間の外出を企画する。
2 家族に同行を依頼する。
3 外出先の経路情報を集める。
4 折り畳み傘を用意する。
5 介助ベルトを用意する。

正解を見る

正解:3

経路情報を集めるというのが正解。

外出先にトイレがあるか、段差がないか、休憩できるスペースがあるか、交通量はどうかなど、情報収集することは重要です。

その情報収集を勤務で行っていいって言ってくれる施設は少ないかもしれませんけれど。

長時間の外出や家族の同行も別に間違っているわけではないと思いますが、最も優先すべきことかというとそうではないでしょうね。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題41

選択肢1から5の順で,ベッドから車いすへ全介助で移乗するときの,利用者の動作と,介護福祉職の身体の使い方の組合せとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 上半身を起こす―――手首で持ち上げる
2 ベッドの端に座る――踵を浮かせて,低くかがむ
3 立ち上がる―――――前腕で真上に引き上げる
4 車いすに移る――――重心を安定させて,車いすへ足先と身体を向ける
5 深く座り直す――――座り直す方向に向けて,上下の重心移動をする

正解を見る

正解:4

介助の技術についての質問です。

文章を読んで、そのシチュエーションと動作のイメージができれば正解できる方は多いと思います。

広い面を使うことや、体感にできるだけ近いところで支えることなどを意識することができているかどうかです。体の負担を軽減しつつ、安楽な移動や移乗ができるための技術を身に着けることが必要です。

2番の問題は、端座位になったときにしっかり足の裏が地面につくことが大事ですよね。実技の受験者はかなり少なくなっていると思いますが、実技の能力の必要性が低くなったというわけではありません。重度な利用者に対しても対応できる介護職員の育成が期待されます。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題42

Bさん(84歳,男性)は,生活全般に介護を必要としている。ベッド上に仰臥位でいるBさんは,喘息があり,咳込みが続き呼吸が苦しくなり,「楽な姿勢にしてほしい」と訴えた。 介護福祉職の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 枕を外して,顔を横に向けて腹臥位にする。
2 枕を重ねて,頭を高くする。
3 左側臥位にして,背中にクッションを当てる。
4 半座位(ファーラー位)にする。
5 オーバーベッドテーブルの上に枕を置いて,上半身を伏せる。

正解を見る

正解:5

喘息による呼吸苦があるときに安楽な姿勢はどれかという問題ですね。

普通に上を向いて仰臥位の姿勢で寝ていると、呼吸をするときに横隔膜を使えていないんですよね。この横隔膜を動かしやすくするためには、座ったまま前傾になって腹臥位姿勢になるといいといわれます。

呼吸障害のメカニズム、急性の呼吸困難を訴える疾患、呼吸困難時の救急判断など、症状別の対応と看護のしかた 痙攣発作について、現場で役立つ看護のポイントをまとめて、「スグに、簡単に、わかりやすく」確認できます。
- nurseful.jp

その人によって楽な姿勢もあると思うので、必ずしもそれが呼吸の改善という結果につながるかどうかというと難しいですよね。

横隔膜を広げてその機能を活用するという意味で、横になっているよりも座っている方がいいですし、前傾になっている方がいいということで、最も適した姿勢としては5番が正解になります。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題43

手首に変形や痛みがみられる関節リウマチ(rheumatoid arthritis)の利用者が,歩行時に使用する杖として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 前腕固定型杖(ロフストランドクラッチ(Lofstrand crutch))
2 前腕支持型杖(プラットホームクラッチ(Platform crutch))
3 松葉杖
4 多点杖
5 歩行器型杖

正解を見る

正解:2

杖の種類についての問題です。

たぶん、どれも見たことのある杖の種類なんでしょうけれど、名前で言われてもわからない!という方は多いはず。

ロフストランドクラッチ

「ロフスト」っていうことが多いですね。手で持つのですが、前腕でも支えます。握る部分と前腕の支える部分の二か所で支えるというイメージです。

腕を通すわっか(カフ)がついており、そこで支えることができるので、握力の弱い人などにも適しています。

プラットフォームクラッチ

プラットフォームクラッチはリウマチ杖ともいわれています。

リウマチの方は指や手首などに強い負荷をかけることはできません。そこで体重をかけるときには前腕をプラットフォームの広い面積で支えるようにします。

今回の問題は変形が出ているほど強い症状のあるリウマチの方が対象になっていますので、このプラットフォームクラッチが正解となっています。

ついでに、多点杖は杖の先端が3点や4点に分岐していて、地面と設置するポイントを増やしているものです。面で支えるような感じになりますので、力を入れやすく、杖も自立します。ただ、重くなることや坂道やデコボコの道に弱い弱点もあります。

歩行器型杖は以前も問題に出てきましたが、その時にはウォーカーケインとも書いてありましたね。サイドウォーカーともいわれます。

歩行器であれば体の前に置きますが、これは横に置くタイプのものです。安定しますが、重いですよね。

杖も含め、福祉用具の種類と適応についての問題は出題される頻度も高いので注意しておきましょう。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題44

身体機能の変化に応じた食事の提供と対応方法として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 咀嚼力の低下に対しては,麺類を中心とした食事で栄養を補う。
2 味覚の低下に対しては,塩分を増やして味付けを濃くする。
3 腸の蠕動運動の低下に対しては,食物繊維の多い食品を取り入れる。
4 口渇感の低下に対しては,脱水予防のために酸味のある味付けにする。
5 唾液分泌の低下に対しては,食後にアイスマッサージをする。

正解を見る

正解:3

正解は3です。

腸の蠕動運動が低下しているということで、便秘になりやすい傾向であることがわかります。便秘を予防するためには食物繊維を効果的に摂取することが求められます。不溶性食物繊維を多く含む食品を食べるといいのですが、キノコ類や豆類、こんにゃくなんかがいいでしょうね。

1番の麺類に関しては噛みにくく、誤嚥の恐れがあるためないでしょう。細かく刻んだりすることが正解ですね。

味覚の低下に関しては味付けを濃くすることよりも、柑橘系の酸味などを加えることなども効果的だと思いますが、介護福祉士の国家試験ではだいたい塩分を濃くするという問題が出てくると間違いの確率が高いです。

5番のアイスマッサージは嚥下訓練などによく使われますね。嚥下販社を起こしやすくするためのものですが、問題文では食後にとありますので、これは×です。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題45

いすに座っている右片麻痺の利用者の食事介護時の留意点として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 口の右側に食物を入れる。
2 利用者の左腕はテーブルの上にのせたままにしておく。
3 刻み食にする。
4 上唇にスプーンを運ぶ。
5 一口ごとに,飲み込みを確認する。

正解を見る

正解:5

右肩麻痺の食事介助を行う時のポイントについてですね。

1番の口の右側に食物を入れるということに関しては、右麻痺の方の右側となると麻痺側になるのがわかると思います。となれば、これは誤りですね。

2番はテーブルの上に左腕を乗せたままにするというのは、よくわからないですね。麻痺は右なので、左は使えるはずなので、左手で自力で摂取できればしていただくのがベストでしょう。

3番は麻痺があると言うだけで食形態を変えると必要もないので誤りですね。

4番は上唇ではなく、下唇ですね。

ということで、正解は5番。誤嚥のリスクを避けるために一口ずつ飲み込みを確認することが正解です。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題46

たんぱく質・エネルギー低栄養状態(PEM:Protein Energy Malnutrition)が疑われる状況として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 要介護度が改善した。
2 1か月に3%以上の体重減少があった。
3 体格指数(BMI)が25.0以上になった。
4 低血圧症状が現れた。
5 声が枯れるようになった。

正解を見る

正解:2

栄養についての問題です。

低栄養は要介護リスクにつながりますので、介護予防の取り組みとしても栄養改善は非常に効果があるとされています。なので、1番は逆ですね。

3番のBMIは25.0以上になったということは、わかりやすく言うと肥満度が上がっているということですね。BMIで25.0以上は前肥満、標準体重よりも太っているということですから、体重は増えていることになりますので、これも誤りです。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題47

ベッド上で足浴を実施するときの基本的な手順や方法として,適切なものを1つ選びなさい。

1 ベッドの足元をギャッジアップする。
2 お湯の温度の確認は,利用者,介護福祉職の順に行う。
3 ズボンを脱がせて,下肢を露出する。
4 洗う側の足関節を保持しながら洗う。
5 両足を一度に持ち上げて,すすぐ。

正解を見る

正解:4

足浴を一度したことがあれば大抵わかりそうですね。

足元をギャッチアップしたら足浴できないですよね。できれば端座位になれたら端座位で床にお湯を張ったバケツを置いて足浴したいとことです。何しろバケツが高いところにあったら足浴はできないですね。

温度の確認は熱すぎたら火傷しますよね。利用者からではなく、介護職から行うのが正しいですね。いや、介護職だったら火傷していいというわけではないですが、温度に対する感覚が鈍っている利用者も多いですから。

3番のズボンを脱がせるというのは、まあ必要ないですよね。足をまくればいい話なので、不必要な露出をすることはありません。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題48

長期臥床している高齢者に,ケリーパッドを使用して行うベッド上での洗髪に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 膝を伸ばした仰臥位で行う。
2 頭皮に直接お湯をかけて,生え際を濡らす。
3 後頭部を洗う時は,頭部を前屈させる。
4 すすぐ前に,タオルで余分な泡を拭き取る。
5 すすぎは高い位置からお湯をかける。

正解を見る

正解:4

さあ、ケリーパッドってなんだという疑問。これです。

洗髪の時に使う道具です。

ベッド上で頭部を洗い、ケリーパッドのくぼみの部分から排水するようになっています。

わかりやすく紹介されているサイトもありますのでご確認ください。

洗髪(1) 物品の確認~患者さんの準備 | 看護師のための看護技術動画サイト。ナースが押さえておきたい注射・採血・感染ケア等の手技や技術を動画でわかりやく解説。
洗髪(1) 物品の確認~患者さんの準備 | 動画でわかる!看護技術 - 看護roo!動画でわかる!看護技術


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題49

皮膚の乾燥が強くなった高齢者の入浴介護に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 アルカリ性の石鹸で洗う。
2 こすらないように洗う。
3 硫黄を含む入浴剤を使用する。
4 42℃以上のお湯で入浴する。
5 保湿剤は,皮膚が十分に乾いてから塗る。

正解を見る

正解:2

高齢者の皮膚は乾燥しますよね。

強い刺激はかえってよくないので、正解はこすらないように洗うです。

3番の硫黄も刺激が強いですからね。温度が熱すぎるのもよくないので、42℃のお湯で入浴というのも誤りです。

保湿剤を塗るのはお風呂上り。乾燥するのを待つのではなく、潤っているときに保湿するようにしましょう。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題50

ベッド上で腰上げが可能な高齢者への,差し込み便器による排泄介護の方法として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 使用前の便器は温めておく。
2 便器を差し込むときは両脚を伸ばしてもらう。
3 男性の場合は,トイレットペーパーを陰茎の先端に当てておく。
4 便器の位置を確認したらベッドを水平にする。
5 排泄中はベッドサイドで待機する。

正解を見る

正解:1

差し込み便器って何?という方のために、これです。

ベッド上で腰上げは可能という状態ですよね。腰上げ便器はベッド上でお尻の下に差し込むようにして使用します。

2番、足を伸ばしてしまうと、腰を上げることができなくなりますね。

4番、ギャッチアップしたほうがやりやすいので、これは誤りですね。

5番は気持ちもわかるんですけどね。主旨としては利用者の尊厳をどのように守るかという部分で、ベッドサイド待機は望ましくないというものでしょう。便器が外れたりする可能性もあるので、注意したいところではありますが。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題51

Cさん(81歳,女性)は,介護老人保健施設に入所している。腹圧性尿失禁があり,トイレでの排泄や下着の交換には介護が必要だが,遠慮して下着の交換を申し出ないことがある。食堂で昼食をとっている最中に激しくむせ込んでいたので背中をさすったところ,むせ込みは収まったが失禁をしたらしく,周囲に尿臭が漂った。
このときの介護福祉職の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 尿臭がすることを伝える。
2 下着が濡れていないかと尋ねる。
3 むせた時に尿が漏れなかったかと尋ねる。
4 トイレに誘導して,下着を交換する。
5 Cさんが下着を替えてほしいと言うまで待つ。

正解を見る

正解:4

ありますよね。

小学校の低学年とかでもある光景ですよね。おもらししちゃった子を周りに気づかれないようにトイレに誘導すると。

本人の羞恥心や自尊心を損なわないような対応をできるかという問題です。

あえて、尿が漏れていないか確認するとか、下着を変えてほしいと言うまで待つとか、尿臭がすると言うとか、必要はないですよね。確実にこのCさんが失禁しているという確信が持てないと難しいかもしれませんが。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題52

数日前から下痢を繰り返している在宅の高齢者について,訪問介護員(ホームヘルパー)が入手すべき次の情報のうち,最も緊急度の高いものを1つ選びなさ い。

1 意識の状態
2 食事の内容
3 下痢の回数
4 水分の摂取量
5 肛門部の皮膚の状態

正解を見る

正解:1

下痢を繰り返しているということで、一番警戒しなければいけないのは脱水ですね。じゃあ、4番の水分の摂取量じゃない?と考える方も多いと思います。

でも質問の内容として、最も緊急度の高いもの、となっています。

この1から5までの情報はどれも同様の症状の際には必要な情報です。

でも、まずは意識混濁などの重篤な症状がないかを確認しましょう、という意味で1番が正解になります。あくまで優先順位を問う問題ということですね。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題53

調理環境を清潔に保つための方法として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 布巾を使った後は,流水で洗う。
2 食器を洗ったスポンジは,軽く絞って洗剤の泡を残す。
3 魚や肉を切ったまな板の汚れは,熱湯で洗い流す。
4 金属製のスプーンの消毒は,塩素系漂白剤に1時間以上つけ置きする。
5 包丁は,刃と持ち手の境目の部分も洗浄して消毒する。

正解を見る

正解:5

いや、これは難問。誰が考えるんでしょうね。

2番のスポンジについての問題ですが、一回絞って水気を切った後に、除菌のできる食器用洗剤をしみこませておいてそのままにしておくのが正解なんだそうです。そんなことしてます?

そんなトリビア的な問題出されても困りますけど・・・。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題54

Dさん(84歳,女性,要介護3)は認知症(dementia)があり,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。ある日,Dさんが,訪問介護員(ホームヘルパー)と一緒に衣装ケースを開けたところ,防虫剤がなくなっていた。Dさんは,新しいものを補充してほしいと訪問介護員(ホームヘルパー)に依頼したが,防虫剤の種類や名前はわからないという。
この衣装ケースに補充する防虫剤の種類として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 しょうのう
2 ナフタリン(naphthalene)
3 パラジクロルベンゼン(paradichlorobenzene)
4 シリカゲル(silica gel)
5 ピレスロイド系

正解を見る

正解:5

これはこのブログでも以前取り上げました。なので、ここでの解説は割愛します。

匂いが少なくて安全性が高いのがピレスロイド系と・・・


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題55

利用者から洗濯を依頼された。以下に示す取扱い表示がある場合,乾燥の方法として,適切なものを 1 つ選びなさい。


1 日当たりのよい場所でつり干しする。
2 日陰でつり干しする。
3 日当たりのよい場所で平干しする。
4 日陰で平干しする。
5 乾燥機を使って高温で乾燥する。

正解を見る

正解:4

詳しくはこの図を参照。

425番の「日陰の平干しが良い」の図ですね。

言われてもわからない。

斜めマークが入っているのが日陰。

縦棒がつり干し、横棒が平干しになると覚えておきましょう。

いや、主婦ってそんなところまでちゃんと確認しているんだ・・・。

果たして介護の専門性はそんなところにあるのかどうかというのも、正直わからないというか、それを求められているのかと。この前の問題54もそうですけど。介護福祉士という専門職に求められている役割って、以前だったら生活援助も含めた生活を支える専門職という位置づけもわからなくもないのですが、介護人材がますます減っていく中、介護のプロフェッショナルとしての意味が強くなり、医療的なケアなども含めて高度になっていく介護技術を習得し伝達するということが重要になっていっているはずです。
また、生活援助系のサービスは、自治会や老人会など多様なサービス主体や有償ボランティアなどにやってもらいましょうっていうのが近年の地域包括ケア体制なんじゃないでしょうか。

いや、解説というよりも問題に対する愚痴になっていますね。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題56

杖歩行している高齢者の寝室の環境整備に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 足元灯を用意する。
2 ベッドの高さは60~65cmにする。
3 マットレスは柔らかいものにする。
4 布団は床に敷く。
5 特殊寝台(介護ベッド)に変更する。

正解を見る

正解:1

足元灯を用意することは転倒予防のためにも非常に重要ですよね。

ベッドの高さを60~65cmにするというのはちょっと高いですよね。一般的に立ちすわりをすることを考えれば、40cm程度で考えることが多いと思います。個人差ありますけど、60cmはかなり高いですよね。

マットレスが柔らかすぎると、身動きがとりにくくなるので、固めの方が剤も安定しますし、立ち上がりはしやすいです。褥瘡などのリスクがある場合はエアマットなどに切り替えますが、自力で寝返りできる人も身動きができずに、寝返りがしにくくなるリスクもあります。

特殊寝台に変更する、別にいいじゃないか、本人も必要だといっているんだし!と言いたいところでしょうけれど。ここではバツになるようです。杖歩行していたとしても、寝返りができない人や、起き上がりの動作ができない人もいますし、呼吸器疾患があるので電動機能でギャッチアップしたいという人もいます。杖歩行は電動ベッドいらないという誤解を与えかねない問題だと思いますが。。。でも×だそうです。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題57

Eさん(78歳,女性)は,30年前に夫を亡くした。 姑の介護を8年間一人で行い,1年前に自宅で看取った。隣県に住む息子に促されて介護付有料老人ホームに入居した。入居して間もないEさんは,「何をしてよいかわからない」と日中は部屋で一人で過ごしている。
ホームでの暮らしに戸惑っているEさんへの介護福祉職の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 規則正しい生活を送るように話す。
2 入居前の生活の様子を聞く。
3 ホームの日課を伝える。
4 介護福祉職がホームでの役割を決める。
5 長男に面会に来てもらえるように,生活相談員に依頼する。

正解を見る

正解:2

出ました。一番当たり障りのない内容が正解ルール。

何かを強制するというのは間違いなので、1や3や4などは誤り。ホームでの役割を持ってもらうのもいいと思いますが、介護福祉職が決めるというのではなく、本人が自発的に役割を持つようになれればいいですけどね。

何をしてよいかわからないといわれたら、自分だったら、何もしなくていいと答えますけどね。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題58

介護老人福祉施設で最期まで過ごすことを希望する利用者への対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 終末期の介護方針を伝えて,意思確認を行う。
2 入所後に意思が変わっても,入所時の意思を優先する。
3 本人の意思よりも家族の意向を優先する。
4 本人の意思確認ができないときは,医師に任せる。
5 意思確認の合意内容は,介護福祉職間で口頭で共有する。

正解を見る

正解:1

特別養護老人ホームでも看取りをすることが一般的になってきましたよね。

終末期についての意向については、なかなか聞き出すタイミングが難しいというのも正直なところ。ただ、明確に意思を言えるタイミングで確認することも重要です。人生会議(ACP)が推奨されていますので、それを意識して話ができるといいですよね。

合意内容は記録で共有しましょう。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題59

終末期で終日臥床している利用者への便秘予防の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 水分摂取量を減らす。
2 腹部に冷罨法を行う。
3 下剤を用いて直腸を定期的に刺激する。
4 座位姿勢を保持する機会を作る。
5 小腸に沿って腹部マッサージを行う。

正解を見る

正解:4

終日臥床していると問題文に書いてあるのがポイントですね。ただ、座位を保つことができるかどうかというのも書いていないので、座位姿勢をとることが難しいのではないかと深読みしてしまい正解にたどり着かない方もいたかもしれません。

1は水分量を増やさないといけないので×ですね。

3みたいに下剤を使うのは出るかもしれないけれど、そもそも下剤を使わないで済むようにするのが便秘予防ですよね。

5も便秘予防というよりかは排便を促すための対処方ですよね。のの字にマッサージをするなんて言われていましたが、これも科学的に効果があるのかどうかは微妙。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題60

Fさん(80歳,女性)は,認知症(dementia)で高齢者施設に10年間入所していたが,死去した。夫(85歳)はFさんが入所中,毎日面会して,Fさんと共通の趣味である詩吟を楽しみ,時間を共に過ごしていた。
夫はFさんが亡くなって 1 週間後,施設にお礼に訪れて,「毎日通うのは大変だったが,今は話し相手もいなくなり寂しい。自分で料理をする気もなくなり眠れない」と涙を流しながら話をした。
Fさんの夫に対する介護福祉職の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 気遣いの言葉をかけて,話を聴く。
2 良眠できる方法を助言する。
3 外食を勧める。
4 趣味に打ち込むように勧める。
5 元気を出すように励ます。

正解を見る

正解:1

どの内容も、別に間違えているわけではないと思います。

ただ、介護福祉職の対応としては、まずは傾聴をすることが基本ですね。

地域包括支援センターなどにつないで、地域で参加できる集まりなどを紹介してもらうことなどもいいかもしれません。男性の高齢者の集まりの場なども最近は増えてきていますので。

生活支援技術のポイント

生活支援技術は問題数も多いです。

問題数は26問もあります。

なので、これを全部不正解でこの分野得点ゼロになって国家試験に不合格になるということはないでしょう。

なので、この分野、全問正解を目指す必要はありません

間違えたっていいです。

絶対、クソみたいな問題が出ます。

そして、出題範囲は無限に広いので、試験勉強をするにも限界があります。

なので、わけわからない問題が出たら、あきらめることも肝心。

防虫剤の種類がわからなくっても、洗濯物が部屋干し推奨かわからなくても、介護福祉士として仕事はできます。

わからない問題が出て、パニックに陥ることのないように、さっさとあきらめた方がいいクソのような問題が出ることを覚悟し、割り切って試験に臨みましょう。