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第31回介護福祉士国家試験過去問題 総合問題

総合問題

第31回介護福祉士国家試験(平成31年度) 総合問題 1

次の事例を読んで,問題 114 から問題 116 までについて答えなさい。

〔事 例〕
Fさん(78歳,男性)は,妻(75歳)と二人で暮らしていた。 1か月前に脳出血(cerebral hemorrhage)で入院して,左半身の不全麻痺がある。立ち上がりや歩行に介助が必要なため,杖や手すりを使用した歩行訓練をして,杖歩行が可能になった。病院のソーシャルワーカーの勧めで,Fさんは介護保険の申請をして結果を待っていた。
ある日,「医師から退院の許可が出た」と,妻から介護支援専門員(ケアマネジャー)に連絡があった。
介護支援専門員(ケアマネジャー)は,「Fさんの退院後の在宅サービスを検討したいので病院に集まってほしい」と,在宅支援の関係者に会議への参加を依頼した。訪問介護員(ホームヘルパー)は,ケアプランの検討のために病院に行って,会議に参加した。会議には,主治医,病棟看護師,理学療法士も参加した。トイレで転ぶのではないかというFさんの心配について話し合った結果,トイレに手すりが必要だということになった。また,左足指に白癬(tinea)があり,薬が処方されていることも確認された。

第31回介護福祉士国家試験(平成31年度)  問題 114

介護支援専門員(ケアマネジャー)が招集した会議として,正しいものを1つ選びなさい。

1. 退院前カンファレンス
2. サービス担当者会議
3. 支援調整会議
4. 地域ケア会議
5. 介護・医療連携推進会議

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正解:2

サービス担当者会議ですね。この選択肢の中で、ケアマネが招集する会議ってサービス担当者会議だけしかないんじゃないでしょうかね。

1の退院前カンファレンスは利用者が入院している医療機関側で、退院調整の看護師や地域連携室等のメディカルソーシャルワーカー(MSW)が招集することが多いですね。

3の支援調整会議はあまり聞きなじみがないと思います。自立相談支援事業という生活困窮の方を対象にした事業で招集される会議ですので、これは誤りですね。

4の地域ケア会議は地域包括支援センターが開催します。

5の介護・医療連携推進会議は地域密着型サービス事業所が招集します。

ということで、このあたりは覚えておく必要はないかもしれませんが、サービス担当者会議がどういうものか、イメージができているといいと思います。

第31回介護福祉士国家試験(平成31年度)  問題115

図はFさん宅のトイレである。
手すりを設置する位置として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 A
2 B
3 C
4 D
5 E

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正解:1

これは厄介な問題ですね。

まずは問題文を読んでください。この部分

1か月前に脳出血(cerebral hemorrhage)で入院して,左半身の不全麻痺がある。立ち上がりや歩行に介助が必要

ということは、左半身の不全麻痺という箇所から読み取れるのは、使うのは右手だということです。

となると、AかBだろうと2択になりますね。

そして、立ち上がりに介助が必要という部分があることから、立ち上がりを補助するための手すりが必要になると考えられると思います。

立ち上がる時には、Aの縦手すりの方が、自分の体を右手で力を入れてぐっと引っ張り上げるのに適していますので、正解はAの手すり。つまり1番になります。

いや、僕だったら、「L字つければいいじゃん」って言いますけどね。

第31回介護福祉士国家試験(平成31年度) 問題116

訪問介護員(ホームヘルパー)が,自宅に戻ったFさんの皮膚疾患に関する日常生活上の留意点を妻に指導する内容として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 からだを温める。
2 足を乾燥させる。
3 着衣や寝具は熱処理する。
4 足にワセリンを塗る。
5 処方された塗り薬は気がついたときに塗る。

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正解:2

正解は2です。

事例の問題文の最後に、ちょっと不自然な形で白癬の記述があります。

また,左足指に白癬(tinea)があり,薬が処方されていることも確認された。

問題文に戻って読み直して、ここを解いている問題だと気が付けば、あとは白癬の対応を考えればいいわけです。

薬が処方されているということですが、気が付いたときに塗るではなく、ちゃんと処方された指示に基づいて塗りましょう。

あとは清潔にし、乾燥させることですね。ということで2が正解。

第31回介護福祉士国家試験(平成31年度)  総合問題2

次の事例を読んで、問題117から問題119までについて答えなさい。

〔事 例〕
Gさん(84歳,女性)は,8年前に経済的な理由から養護老人ホームに入所した。
Gさんは,「自分のことは,自分でやりたい」といつも話しており,毎朝の体操が日課であった。施設のプログラムである健康体操にも他の利用者と楽しみながら毎週参加していた。
しかし,最近は,足がすくんだようになり,始めの一歩をうまく出せず,歩行に不安を抱えるようになった。
Gさんは,物忘れなどの症状が以前からみられていたこと,また他の症状もみられるようになったことから,医師の診察を受けたところ,レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)と診断された。
Gさんは,居室の前にあるトイレに行くとき,転倒してけがをするのではないかと 不安になっている。Gさんが入所している施設は,N県から介護保険サービス事業者の指定を受けている。この施設で生活を続けたいというGさんの意向を受けて,本人を交えて施設職員と介護支援専門員(ケアマネジャー)が支援の内容を検討した。

第31回介護福祉士国家試験(平成31年度)  問題 117

Gさんが診察を受けるきっかけとなった他の症状とは,発症した認知症(dementia)の特徴的な症状の一つである。
他の症状に該当するものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 片麻痺
2 脱抑制
3 幻視
4 常同行動
5 感情失禁

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正解:3

事例の文章をよく読んでみましょう。

レビー小体型認知症と診断をされています。

ということで、レビー小体型認知症の特徴を回答すれば正解です。

この5つの選択肢の中でいえば3の幻視ですね。

レビー小体型認知症の特徴を問う問題はよく出題されます。レビー小体型認知症の特徴として、幻視やそれにともなう妄想、またはパーキンソン症状によるすくみ足などは出題されやすいので注意しましょう。

第31回介護福祉士国家試験(平成31年度)  問題118

Gさんの移動に関する支援として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 床にある目印をまたぐように声かけをする。
2 車いすで移動する。
3 居室にカーペットを敷く。
4 歩幅を小さくするように声かけをする。
5 四点杖の使用を勧める。

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正解:1

これはレビー小体型認知症の事例で、すくみ足の部分についての問題です。事例の文章にはこのように書いてあります。

しかし,最近は,足がすくんだようになり,始めの一歩をうまく出せず,歩行に不安を抱えるようになった。

正解は1なのですが、目印があると足をそれに合わせて踏み出しやすくなるという特徴があります。あえて廊下に段差などの障害物を置く人もいるくらいです。あとはリズムをとるようにすると足が出やすくなるなどの工夫が考えられますね。

4番のように歩幅を小さくするように声をかけると、もともとすり足で足が前に出ないのに前に進まなくなりますよね。

第31回介護福祉士国家試験(平成31年度)  問題119

Gさんの意向を踏まえた介護保険サービスとして,正しいものを1つ選びなさい。

1 看護小規模多機能型居宅介護
2 小規模多機能型居宅介護
3 短期入所療養介護
4 特定施設入居者生活介護
5 認知症対応型共同生活介護

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正解:4

これはややこしいですね。

まず、最初に事例の問題文を読んだときに、この施設が養護老人ホームだということに気が付いたかどうかです。

養護老人ホームは特別養護老人ホームと違い、介護の必要性があることが入所の条件ではなく、環境的・経済的に自宅で生活することができない方が措置の形で入所する施設になります。基本的にADLは自立している方が入所する施設です。

ただ、養護老人ホームに入所している方でも、加齢に伴って介護が必要な状況が出てきます。

養護老人ホームでも、特定施設の指定を受けて有料老人ホームと同様に介護保険サービスを提供している施設や、訪問介護の事業所指定を受けて利用者のケアを行っている施設もあります。

ということで、4の 特定施設入居者生活介護が正解になります。

3番の短期入所療養介護で老健へショートステイすることで機能訓練をするのがいいんじゃないか、とか、1番の看護小規模多機能・2番の小規模多機能も使えるんじゃないかとか、いろいろ考え方はあると思いますが。

とにかくわかりにくいですよね。この施設で指定を受けて提供しているサービスは何でしょう、とかの方がまだわかりやすい気がします。

第31回介護福祉士国家試験(平成31年度) 総合問題3

次の事例を読んで、問題120から問題122までについて答えなさい。

〔事 例〕
Hさん(26歳,女性)は,腰髄損傷(lumbar spinal cord injury)で両下肢麻痺の障害があり,車いすを使用してADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)は自立している。銀行で働きながら一人暮らしをして,休日は,友人とスキューバダイビングを楽しんでいた。
Hさんは,こだわりや責任感が強く真面目で,悩みごとを打ち明けられない性格であった。
ある日,友人が表情の暗いHさんを心配して話を聞いてみると,「食事が喉を通らず,頭痛や思考力低下があり,寝つきは良いが,すぐに目が覚めて眠れず,仕事上のミスが続き仕事に行けない日がある」と話した。友人の勧めで専門医を受診した結果,Hさんはうつ病(depression)と診断された。
その後,治療を受けながら仕事を続けていたが,激しい動悸,息苦しさ,めまいを伴うパニック発作が繰り返し起こり,仕事を休職して治療に専念することにした。

第31回介護福祉士国家試験(平成31年度)  問題120

Hさんの睡眠障害として,正しいものを1つ選びなさい。

1 レストレスレッグス症候群(restless legs syndrome)
2 概日リズム睡眠障害(circadian rhythm sleep disorder)
3 レム睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder)
4 環境因性睡眠障害
5 中途覚醒

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正解:5

ひとつずつ見ていきましょう。

レストレスレッグス症候群は前の問題にも出てきましたね。むずむず足症候群です。足のむずむず感などの不快感が出てくるものです。とくにそういった症状は該当していません。

2番の概日リズム睡眠障害はあまり聞き覚えのない言葉ですが、時差ボケのようなものです。体内時計と外界の時間があっていないと起こります。

3番のレム睡眠行動障害は浅い眠りのときに見た夢で見た行動が自分の行動になってしまうというもので、大声で叫んだり歩き出したりというものですが、特にそんな症状もないようです。

4番の環境因性は周囲がうるさかったり、睡眠できる環境でないことが原因になっているものですから、これも違いますよね。

ということで正解は5番です。

第31回介護福祉士国家試験(平成31年度)  問題121

Hさんの食欲不振や睡眠障害は改善せず,日常生活に介護が必要になり居宅介護を利用し始めた。半年ほど経過した頃,「早く良くなりたい」と介護福祉職に話した。
介護福祉職が,Hさんのつらい思いを受容した上でかける言葉として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 「早く良くなってくださいね」
2 「すぐに治りますよ」
3 「ゆっくり休むことも必要ですよ」
4 「治療,頑張ってくださいね」
5 「気分転換に旅行に行くといいですよ」

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正解:3

居宅介護って何?って思って躓く方もいると思いますが、障害の方を対象にした訪問介護のサービスの一種が居宅介護です。介護保険の居宅介護支援(ケアマネジャー)と混同しやすくて困りますよね。

なので、今回はホームヘルパーによる声掛けについての問題ということになります。

たぶん問題文を読んでいて、腰髄損傷で両下肢麻痺という部分に目が留まっている方が多いと思うのですが、この事例の文章を読んでいるとうつ病と診断されていることがわかります。

うつの方に対する声掛けとして適切なのは3ですね。

焦らせたり、努力を強要したり、安易なアドバイスなどは不適切になりますね。

第31回介護福祉士国家試験(平成31年度)  問題122

Hさんは仕事を休職して治療に専念した結果,趣味のスキューバダイビングが楽しめるまでに回復した。介護福祉職に,「仕事に復帰しようと思っている」と話した。
介護福祉職が紹介するサービスとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 リワークプログラム
2 レスパイトサービス(respite service)
3 ピアカウンセリング(peer counseling)
4 セルフヘルプグループ(self-help group)
5 ガイドヘルプサービス

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正解:1

職業復帰を目指しているということで、復職支援のサービスがどれかということを問う問題です。なので、1が正解。

1はうつ病の方の服飾支援プログラムです。でも、これ介護福祉士で知ってる人の方が少ないでしょうし、計画相談やっていても知らない人いるでしょ。

他の選択肢がないと思えば1にたどり着くとは思いますが。

第31回介護福祉士国家試験(平成31年度)  総合問題4

次の事例を読んで、問題123から問題125までについて答えなさい。

〔事 例〕
Jさん(女性)は,介護福祉士養成施設の学生である。Jさんは,希望していた障害児入所施設で実習をすることになった。この実習では,障害特性を理解して,介護実践の在り方を学ぶだけではなく,個別支援計画(介護計画)作成と実施,評価までの介護過程の展開を学ぶことになっていた。
Jさんは,対象となる利用者としてK君(15歳,男性)を担当することになった。K君は重度の脳性麻痺(cerebral palsy)がある。K君が2歳の時に両親は離婚して,母親が一人でK君を育てていた。母子の生活は困窮していた。K君が9歳の時に,母親はK君を施設に入所させることを希望し,この施設に入所することになった。現在K君は,言語による意思の疎通は困難であり,座位が保持できる程度である。また,てんかん(epilepsy)の発作(強直間代発作)が時々みられるが,重積発作ではない。

第31回介護福祉士国家試験(平成31年度)  問題123

K君が入所している施設の根拠となる法律として,正しいものを1つ選びなさい。

1 母子及び父子並びに寡婦福祉法
2 「障害者総合支援法」
3 生活保護法
4 児童虐待の防止等に関する法律
5 児童福祉法

(注)「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

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正解:5

この問題の対象者は15歳です。障害児入所施設と事例にも書いてあります。となると、児童福祉法が適用されますので、正解は5です。

別に虐待もされていないですし、生活保護も関係ありません。

第31回介護福祉士国家試験(平成31年度)  問題124

Jさんは,K君の支援計画作成に責任を持つ職員に計画作成の注意点などを聞きたいと,実習指導者に相談した。
K君の支援計画作成に責任を持つ職員として,正しいものを1つ選びなさい。

1 生活支援員
2 児童自立支援専門員
3 サービス提供責任者
4 児童発達支援管理責任者
5 相談支援専門員

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正解:4

児童発達支援管理責任者です。いわゆる児発管といわれる人ですね。

計画相談を行う5番かなと思った人もいると思います。でも問題は個別支援計画の作成についてですので、これは4番で正解です。

第31回介護福祉士国家試験(平成31年度)  問題125

Jさんは個別支援計画作成にあたって,昼食後にK君と向き合う時間を多くとった。ある日,K君に話しかけていると,突然両上下肢を硬直させ,がたがた震わせた後,意識を失ってしまった。慌てたJさんはすぐに,近くの職員に連絡をした。
K君の発作が落ち着いた後,実習指導者がJさんに,K君の発作時の対応について教える内容として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 大声で名前を呼ぶ。
2 タオルを口にくわえさせる。
3 顔を横にして顎を上げる。
4 救急車を呼ぶ。
5 からだを押さえて発作を止める。

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正解:3

事例の文章にこのように書いてありますね。

また,てんかん(epilepsy)の発作(強直間代発作)が時々みられるが,重積発作ではない。

発作のときの対処法についての出題になります。

顔を横にし、下顎を上げることで気道を確保している3ですね。

重積発作などはないということで、4の救急車を呼んでも到着するころには収まっています。

体を抑えて発作を止めるとか、タオルを口に加えさせるという力技が選択肢に登場しますが、そもそも発作は止まりません。

総合問題のポイント

総合問題は事例問題です。

ひとつの事例から3つの問題が出題されます。

今回の事例は高齢の事例(レビー小体型認知症)がひとつと、障害の事例がふたつ(腰髄損傷+うつ病と脳性麻痺の児童)でした。

障害のサービスをやっている方はラッキーだったのかもしれません。障害のサービス種別や根拠法などを問われる問題は非常に厄介ですよね。

事例問題の解き方ですが、それほど長い文章ではないのですが、事例の文章を読んで気になるところに下線を引っ張ったりチェックするようにしておきましょう。読み返すときに重要な部分を読み落としたりしないようにしておくことが重要です。

以前は事例を読まなくても問題文を読むだけでこたえられる問題が多かったのですが、事例の文章をちょっと読み込まないとわからなくなる問題が増えている印象です。

最後の分野なので、試験の残り時間も気になるところだと思いますが、落ち着いて問題に取り組んでいきましょう