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第31回介護福祉士国家試験過去問題 発達と老化の理解

発達と老化の理解

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題69

乳幼児の標準的な心身の発達に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1. 生後3か月頃,指を使って積み木がつかめるようになる。
2 .生後6か月頃,つかまり立ちができるようになる。
3 .1歳頃,喃語が現れ始める。
4 .2歳頃,二語文を話すようになる。
5 .3歳頃,愛着(アタッチメント(attachment))が形成され始める。

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正解:4

これは難問。介護福祉士の国家試験に挑戦するのは多くは高齢者を対象にしたサービスを提供しているか、もしくは障碍者を対象にしたサービスを提供している人でしょう。

ただ、児童の介護分野も試験範囲外ということはないですからね。児童の成長発達の理解も必要になります。

過去にも児童の成長発達段階に関する出題は出ています。

ハヴィガーストなんて知らないよと、声が聞こえてきそうですが。

乳幼児や児童についての発達段階の出題があるとしてもウエイトの高い項目ではないので、大まかに理解しておく程度でもいいのではないかと思います。

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題70

高齢者に対する次の見方のうち,エイジズム(ageism)に該当するものを1つ選びなさい。

1 心身機能の個人差が大きくなる。
2 視覚機能が低下する。
3 流動性知能が低下する。
4 認知機能が低下する。
5 頑固な性格になる。

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正解:5

エイジズムというのはいわゆる高齢者に対する偏見のことです。

エイジズム(英: ageism、agism)とは年齢に対する偏見や固定観念(ステレオタイプ)(年齢主義ともいう)と、それに基づく年齢差別や特に高齢者差別、老人蔑視の事を言う。 子供や中年など他の年齢層も含まれるが、主に高齢者に対する扱いについてのものである。

wikipedia

つまり、1から5までの選択肢のうち、高齢者に対する偏見にあたるものがどれかというのが出題。先入観や偏見によるもの=つまり誤っているものを選択するという問題です。ちょっと出題の意図を理解するのがややこしい問題です。

1から5の選択肢、どれもその文章自体を見たらどれも間違いなさそうに思います。事実としてどの機能も衰えていきますし、頑固にもなるんじゃないかと。

ただ、誰しもが頑固になるというと、そういうわけではないので、頑固になるというのは偏見。ということで5が正解になるようです。

でも、年齢とともに頑固になる人の方が圧倒的に多いと感じますけどね。

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題71

加齢に伴う身体機能の変化として,適切なものを1つ選びなさい。

1 周辺視野が広くなる。
2 低周波の音から聞こえにくくなる。
3 味覚の感受性が低下する。
4 振動に敏感になる。
5 嗅覚が敏感になる。

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正解:3

味覚の感受性が低下します。

高齢者は薄味が好き、なんてことはありません。

味覚が低下することで、より濃い味付けを好むようになります。塩分も多くなり、心臓血管や脳血管系のトラブルを起こしやすくなります。

醤油の量が多くなっていたり、漬物が濃くなっていたり、みそ汁のみその量が多くなっていたりしますよね。

ということで、正解は3です。

聞こえ方は高周波の音から聞こえにくくなりますので、高齢者の方に対しては低い音域の声の方が聞こえやすくなります。

老化に伴う知覚の変化についてはよく出題されます。よく考えればイメージできる問題だと思いますので、ひとつひとつ問題文を高齢者のイメージと重ねて確認しながら回答していきましょう。

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題72

尿失禁に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 認知症(dementia)で尿を漏らすのを,腹圧性尿失禁という。
2 トイレまで我慢できずに尿を漏らすのを,切迫性尿失禁という。
3 重い物を持った時に尿を漏らすのを,混合性尿失禁という。
4 いろいろな原因が重なって尿を漏らすのを,溢流性尿失禁という。
5 前立腺肥大症(prostatic hypertrophy)で尿を漏らすのを,機能性尿失禁という。

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正解:2

我慢できずに尿を漏らすのを切迫性尿失禁と言います。

腹圧性尿失禁は、立ち上がる時など、ぐっとおなかに力を入れた瞬間に漏れてしまう失禁のパターンです。

溢流性尿失禁は暴行の中にためきれないほどの尿をためてしまってそこからあふれてしまう尿失禁ですね。

機能性尿失禁が一番わかりにくい。排尿の機能自体は正常なのに、身体機能の低下や認知症に伴って、排尿時にトイレまでたどり着けないなどの理由から尿失禁してしまうのが機能性尿失禁です。機能性って聞いたら排尿機能に何かの障害があると思いますよね。

失禁の種類で出題されることも多いので、特に機能性尿失禁の意味を理解して試験に臨みましょう。

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題73

Aさん(95歳,女性,要介護3)は,介護老人福祉施設に入所して6か月になる。入所間もない頃は,「買物に行きたい」「友達に会いに行きたい」と,いろいろ介護福祉職に要望したが,それらの要望には応えてもらえなかった。現在Aさんは,認知機能障害はなく,身体的にも大きな変化や異常は認められない。しかし,ほとんどの時間をベッドで過ごしていて,「どこか行きたいところはないですか」と介護福祉職が聞いても,「ない」と答えるだけである。
Aさんの現在の状態を説明するものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 学習性無力感
2 反動形成
3 統合失調症(schizophrenia)の陰性症状
4 せん妄(delirium)
5 パーソナリティの変化

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正解:1

Aさんは入所して六か月。当初はいろいろと要望もあったけれど、答えてもらえなかったことで、何もできないことに無力感を感じるようになっているということですね。

ということで、1の学習性無力感が正解。

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題74

高齢者の疾患と治療に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 複数の慢性疾患を持つことは,まれである。
2 服用する薬剤の種類は,若年者より少ない。
3 服用する薬剤の種類が増えると,薬の副作用は出にくくなる。
4 高血圧症(hypertension)の治療目標は,若年者と同じにする。
5 薬剤の効果が強く出ることがある。

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正解:5

これはそれほど難しくはないと思います。

慢性疾患をいくつも持っている方多いですよね。当然薬の種類も増えますし、薬の種類が増えれば副作用も出やすくなりますので、これは1~3までまとめて×です。

高血圧の治療目標は若者よりも低い基準に設定されています。

薬剤の影響が強く出やすいのは間違いないので、正解は5になります。

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題75

高齢者の便秘に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1. 1日に1回,排便がない状態をいう。
2. 病気が原因となることは,まれである。
3. 腹筋の筋力低下は,原因となる。
4. 薬剤が原因となることは,まれである。
5. 下剤の服用を優先する。

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正解:3

一日に一回排便がない状態を便秘とは言わないですよね。だいたい3日続けてないと便秘としていると思います。

病気が原因になることもありますし、薬剤の影響で便秘になることもあります。パーキンソン病の治療薬や抗うつ剤などでは便秘になりやすいですね。

腹筋の低下でいきんで排泄することができないと便秘にもなりやすくなります。前傾姿勢が取れなくなったり、足で踏ん張れなくなったり、腹筋だけに限らず、排便の姿勢などにも注意すべきですね。

生活支援技術でも便秘についての出題がありましたね。

終末期で終日臥床している利用者への便秘予防の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。


1 水分摂取量を減らす。
2 腹部に冷罨法を行う。
3 下剤を用いて直腸を定期的に刺激する。
4 座位姿勢を保持する機会を作る。
5 小腸に沿って腹部マッサージを行う。

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題59

排泄・排便については生活を支える介護のなかでも重要な役割と位置付けて考えていくべきですよね。

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題76

Bさん(68歳,女性)は,3か月前から,自宅の階段を昇り降りするときに,両膝の痛みが強くなってきた。整形外科を受診したところ,変形性膝関節症 (knee osteoarthritis)と診断された。Bさんの身長は153 cm,体重は75 kgである。
Bさんの日常生活の留意点として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 歩行を控える。
2 正座で座る。
3 膝を冷やす。
4 体重を減らす。
5 杖は使わない。

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正解:4

なかなか問題文に対象者の身長体重が書いてあるケースってないですよね。

ということはそこに何らかのヒントがあるんじゃないかと探るのがセオリーですね。

153cmで75kg。太っていますよね。当然膝に負担があることは想像がつきます。なので、膝の負担を減らすという視点で考えれば体重を減らすということになりますね。

発達と老化の理解のポイント

発達と老化の理解という分野名ですが、多くは老化の理解についての問題です。

特に出題されやすい身体機能の変化や知覚の変化などは必ず確認しておきましょう。

尿失禁や排便などについての高齢者の特徴も押さえておきましょう。

普段から高齢者に接するサービスを提供しているとイメージしやすい問題が多いと思います。慌てず、ひとつひとつを確認しながらつぶしていきましょう。