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第31回介護福祉士国家試験過去問題:社会の理解

社会の理解

第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題5

家族の機能に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 衣食住などの生活水準を維持しようとする機能は,生命維持機能である。
2 個人の生存に関わる食欲や性欲の充足,安全を求める機能は,生活維持機能である。
3 子育てにより子どもを社会化する機能は,パーソナリティの安定化機能である。
4 家族だけが共有するくつろぎの機能は,パーソナリティの形成機能である。
5 介護が必要な構成員を家族で支える機能は,ケア機能である。

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正解:5

家族の機能についての問題です。

アメリカの社会学者タルコット・パーソンズは、家族の機能を大きく4つの機能に分類して考えました。

1.生命維持機能

2.生活維持機能

3.パーソナリティ機能

4.ケア機能

核家族化・家族の個人化が進むことによって、家族の機能も縮小していくことも挙げられています。

ケア機能は、高齢者や障害者・乳幼児や病気・けがなどに対して、それを支えるための家族の機能になります。

介護福祉士の問題っぽくない、というかむしろ社会福祉士の問題っぽい感じで、苦手な人も多いと思います。

社会の理解ということで、最小の単位である家族。

家族の機能も、晩婚化や非婚化などによってさらに変化していくので、どのように変わったのかという点は理解しておくといいでしょう。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題6

「地域共生社会」が目指すものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 育児・介護のダブルケアへの対応
2 すべての住民が支え合い,自分らしく活躍できる地域コミュニティの創出
3 高齢者分野の相談支援体制の強化
4 公的サービスに重点を置いた地域福祉の充実
5 専門職主体の地域包括支援体制の構築

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正解:2

地域共生社会ってなに?

これは、厚生労働省が掲げる社会保障改革の中で日本のあるべき姿をこのように表現しています。

地域共生社会」とは、このような社会構造の変化や人々の暮らしの変化を踏まえ、制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会を目指すものです。

厚生労働省ホームページより

何が言いたいかというと、社会保障制度とか公助に頼るんじゃなくて、地域でどうにか解決しなさい、そのために地域に参加しなさい、という内容です。

地域包括ケアシステムと意味合い的には似たようなものですよね。

国やら自治体のサポートは最小限で、地域の中で助け合うということですよね。社会保障のために消費税も増税しているのにどういうことだと、言いたい気持ちもわかります。

ただ、地域共生を掲げたところで、支え手となる存在が限られている地域などもありますので、なかなか難しい問題ですよね。

地域の高齢者等が集まるサロンや住民独自の見守り隊などのグループも増えましたよね。そういった地域のイメージを持っていただければ大丈夫かと思います。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題7

特定非営利活動法人(NPO法人)に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 社会福祉法に基づいて法人格を取得した法人である。
2 収益を上げることは禁じられている。
3 社会教育の推進を図る活動を行うものが最も多い。
4 認定特定非営利活動法人は,税制上の優遇措置を受けることができる。
5 災害救援は対象外の活動である。

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正解:4

NPO法人についての問題です。

受験される方の中でも、実際にNPO法人で勤務されている方も多いのではないでしょうか。

2の収益のことについてはよく誤解されることが多いので、これはしっかり確認しておいた方がいいと思います。

NPO法人は収益を上げることを禁じられているわけではありません。ただ、利益を分配してはいけないというルールがあるので、収益を上げても今後の活動費に充てなければいけないということなのです。

営利企業のように利益を上げることが目的なのではなく、NPO法人としての活動を行うために利益を上げるというイメージですね。

正答の4番に関しては、認定NPO法人についての文章です。

認定NPO法人とはこのような法人を言います。

認定特定非営利活動法人制度(認定NPO法人制度)は、NPO法人への寄附を促すことにより、NPO法人の活動を支援するために税制上の優遇措置として設けられた制度です。

内閣府ホームページより

NPO法人が認定申請書を所轄庁に申請し、基準を満たしていることで認定NPO法人として認可されます。

NPO法人の事業には公益性が求められますが、認定NPO法人はより高い公益性を持っていると認められた法人ということですね。

税制上の優遇措置というものが何かというと、個人が寄付などをしたときに、寄付金控除などを受けられたり、法人からの寄付でも損金に算入できる金額が多くなるなど、より幅広くお金を集めやすくなっています。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題8

「育児・介護休業法」に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 契約社員は,育児休業を取得できない。
2 介護休業は,対象家族一人につき連続して取得しなければならない。
3 介護休業は,育児休業よりも先に制度化された。
4 雇用主には,育児休業中の給与支給が義務づけられている。
5 配偶者,父母,子,配偶者の父母は,介護休業の対象家族である。

(注)「育児・介護休業法」とは,「育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」のことである。

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正解:5

1番ですが、これは契約社員でも育児休業を取得できます。

2番は分割して取得することが可能です。

3番の介護休業についてですが、これは育児休業よりも後に制度化されましたね。

4番の育児休業中の給与支給は義務付けられていません。

5番ですね、介護休業の対象家族がどこまでかという点です。

対象となる家族は、 配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫となっています。

配偶者は事実婚を含んでいます。また、父母、子は養子、養親も含んでいますので、家族のとらえ方については比較的柔軟になっていますね。

対象となる家族が常時介護が必要な状態にあることを条件としていますが、この常時介護が必要な状態については、ひとつの基準として要介護2以上であることが示されています。要介護2でなくても、座位や歩行・薬の内服などの12項目のうち、必要な要件を満たしていれば常時介護が必要な状態としても認められます。

よくあるお問い合わせ(事業主の方へ)について紹介しています。
よくあるお問い合わせ(事業主の方へ) - www.mhlw.go.jp

介護福祉士取得者は女性も多いので、知っておいた方がいい知識ですが、男性の介護休業ももっと進んでいくことが望ましいですよね。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題9

Cさん(71歳,女性,要介護1)は,軽度の認知症(dementia)がある。週1回通所介護(デイサービス)を利用している。娘が離婚して,常勤で就労するようになり,孫を連れてCさん宅へ転入した。孫が保育所に入所できなかったため,Cさんが日中面倒を見ることになった。そのため,楽しみにしていた通所介護(デイサービス)の利用が困難になり困っているという相談が,指定通所介護事業所のD管理者(介護福祉士)にあった。D管理者の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 利用が困難ということなので,通所介護計画を変更する。
2 通所介護(デイサービス)の利用日は会社を休むように,娘に言う。
3 担当の介護支援専門員(ケアマネジャー)に,再調整を依頼する。
4 児童相談所に相談するように,Cさんに助言する。
5 娘に転職をしてもらうように,Cさんに助言する。

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正解:3

さっきまでの問題と違って非常にシンプルな問題ですよね。

介護保険制度の仕組みとして、基本が理解できていれば十分だと思います。

Cさんはすでに要介護1の認定を受けてデイサービスを利用しているので、担当のケアマネさんがいるということがわかると思います。

娘の離婚や就職、孫が保育所に入れなかったなど、様々なエピソードがありますが、簡単に言えばデイサービスの利用ができなくなって困っているという状況ですよね。

こういう相談がどうしてケアマネに直接じゃなくてデイサービスの管理者宛にあるんだという疑問はとりあえず横に置いておきましょう。デイサービスを休みがちになっていて、心配してデイサービスの管理者が電話した時に本人から相談があったんでしょうかね。

家族の意向などもありますので、その調整も含めて担当ケアマネジャーに相談するというのが回答になります。

会社を休むように言うとか、転職してもらうように言うとか、どの立場で言っているのか・・・ちょっと飛躍しすぎですよね。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題10

労働者災害補償保険制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 パートやアルバイトは,保険給付の対象である。
2 保険料は,雇用主と労働者がそれぞれ負担する。
3 通勤途上の事故は,保険給付の対象外である。
4 業務上の心理的負荷による精神障害は,保険給付の対象外である。
5 従業員がいない自営業者は,保険給付の対象である。

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正解:1

パートでもアルバイトでも労災はおります。事業者に賃金を支払ってもらって労働しているのであれば労災の対象になります。

保険料は雇用主の全額負担になります。

で、労災が認められる条件として、4番の精神障害についてですが、これはちょっと難しいですよね。

厚生労働省のホームページに書いてありますが、

(1) 対象疾病に該当する精神障害を発病していること。
(2) 対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、客観的に当該精神障害を発病させるおそれのある業務による強い心理的負荷が認められること。
(3) 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により当該精神障害を発病したとは認められないこと。

これらの条件を満たしていることが必要になります。

ただ、セクシャルハラスメントが原因で精神疾患を発症した場合や、いやがらせ・いじめまたは暴行が原因で発症した場合は労災に該当します。

女性が多い介護の職場ですので、これは一応覚えておいた方がいいと思います。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題11

2018年(平成30年)に施行された介護保険制度の改正内容として,正しいものを1つ選びなさい。

1 介護医療院の創設
2 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の創設
3 在宅医療・介護連携推進事業の地域支援事業への位置づけ
4 地域包括支援センターへの認知症連携担当者の配置
5 法令遵守等の業務管理体制整備の義務づけ

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正解:1

これは介護福祉士の問題というよりもケアマネの問題っぽい感じがしますよね。

やはり介護保険制度の改正した後は制度改正の内容についての出題は多くなります。

介護医療院って聞いたことない、っていう人も多いと思います。介護療養型医療施設(療養病床)を廃止することをずっと言い続けてきた厚生労働省ですが、やはり在宅に戻ることのできない医療ニーズの高い高齢者の行先については問題とされてきたんですよね。

で、結局、療養病床をこの介護医療院という種別を新たに作って移行するという結果に至ったわけです。介護医療院という、介護と医療の間での玉虫色の決着ですね。

実際に、介護医療院と名乗っている病院・施設が今のところほぼないと思います。転換前の名称を残すことも認められているので、名称も「○○介護医療院」にするのではなく、「○○病院」のままで残すところも多いようです。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)  問題12

2018年(平成30年)に施行された介護保険制度の利用者負担に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 施設の食費は,材料費等の実費を新たに全額自己負担することになった。
2 補足給付の支給要件から資産が除かれた。
3 居宅介護サービス計画費について自己負担が導入された。
4 施設の居住費は,新たに保険給付の対象外とされた。
5 一定以上の所得のある利用者に対して3割負担が導入された。

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正解:5

これも介護保険の改正内容についての出題です。

この問題は、訪問介護やデイサービスなどの在宅サービスで仕事をしている人は圧倒的に有利な問題かもしれませんね。

介護保険制度の改正により、現役並みの所得がある方には3割の自己負担が導入されました。

いや、3割ってでかいですよね。3倍ですから。

どのくらいの方が3割負担になったかというと、全体の利用者の中でおよそ3%といわれています。ただ、地域によっては3割負担ばかりという地域もあるかもしれませんね。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題13

2016年(平成28年)の「障害者総合支援法」の改正内容として,適切なものを1つ選びなさい。

1 放課後や休日に児童・生徒の活動を支援する放課後等デイサービスが創設された。
2 一人暮らしを希望する障害者に対して,地域生活を支援する自立生活援助が創設された。
3 障害者の 1 年間以上の雇用継続を義務づける就労定着支援が創設された。
4 保育所等を訪問して,障害児に発達支援を提供する保育所等訪問支援が創設された。
5 医療的ケアを必要とする障害児への支援として,医療型障害児入所施設が創設された。

(注)「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

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正解:2

これは障害者総合支援法の改正内容です。

これまで介護保険制度の改正内容について出題されることは多かったのですが、障害の制度改正の内容について突っ込んだ出題というのはなかなか見なかったと思います。

自立生活援助というサービス自体、いまだに認知度の少ないサービスで、介護保険で当てはまるサービスではないのでイメージしにくいんじゃないかなと思います。

障害者が地域で一人暮らしをしていくのに、様々な課題に直面すると思うのですが、それらをサポートするためのサービスです。

具体的には、
食事、洗濯、掃除などに課題はないか
公共料金や家賃に滞納はないか
体調に変化はないか。通院をしているか
地域住民との関係は良好か

などについて確認をするために訪問をするのですが、介護保険ではこれをケアマネが担っているという方も多いんですよね。

ちなみに障害の制度の方には計画相談支援という居宅介護支援(ケアマネジメント)に近いサービスがあり、計画作成などを行っています。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題14

障害者を支援する専門職の主たる業務に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 社会福祉士は,福祉関連法に定められた援護,措置の事務を行う。
2 精神保健福祉士は,心理検査を実施して精神面の判定を行う。
3 理学療法士は,手芸や工作の作業,家事の訓練を行う。
4 言語聴覚士は,聴覚検査や言語訓練,嚥下訓練を行う。
5 栄養士は,摂食の訓練や摂食のための自助具の作成を行う。

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正解:4

専門職とその主な業務についての問題ですね。

言語聴覚士(ST)というと、言語・スピーチセラピスト、ということで、言語の訓練というイメージが強いのかもしれません。

ただ、口の機能全般のリハビリテーションを専門領域としているので、嚥下訓練を行うのも言語聴覚士の仕事なんですよね。

嚥下訓練?で引っかかってしまった人も少なくないかもしれません。理学療法士や作業療法士と比べて人数も少ないので、言語聴覚士と一緒に仕事をしたことがないという人も多いと思います。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題15

Eさん(75歳)はU事業所の訪問介護(ホームヘルプサービス)とV事業所の通所介護(デイサービス)を利用している。Eさんは通所介護(デイサービス)の職員の対応に不満があり,苦情を申し出たいがどうすればよいかとU事業所の訪問介護員(ホームヘルパー)に相談した。
訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 通所介護(デイサービス)の職員に注意しておくと伝える。
2 介護保険審査会に申し出るように助言する。
3 介護保険の事業所の苦情対応の仕組みを説明して,担当者に相談するように助言する。
4 しばらく様子を見てから,改めて相談に応じると伝える。
5 日常生活自立支援事業を契約して,苦情解決を援助してもらうように助言する。

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正解:3

苦情についての相談ですよね。

2番の介護保険審査会はケアマネの問題ではよく出題される機関です。

介護保険審査会はこのような機関です。

保険者である市(区)町村が行った介護保険における「保険給付」及び「要介護(要支援)認定」などに係る行政処分に対する不服申立て(審査請求)の審理・裁決を行う第三者機関として各都道府県に設置されています。

神奈川県ホームページhttp://www.pref.kanagawa.jp/docs/u6s/cnt/f470307/

行政に対する不服申し立てを行うものなので、これは該当しませんね。

3番の苦情相談の仕組みについてですが、具体的にどう説明するかイメージができない人も多いと思います。

サービス利用前に、事業所の担当者と利用者との間で介護サービス利用に関する重要事項説明書を取り交わすのですが、そこに苦情対応の相談先などが書いてあります。

主には事業所を運営する法人の相談窓口や代表者が書いてあったり、それ以外に自治体の介護保険担当窓口や各都道府県の国民健康保険団体連合会の苦情対応窓口などの連絡先が書いてあります。


第31回介護福祉士国家試験(平成30年度) 問題16

社会福祉法人に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 設立にあたっては,所在地の都道府県知事が厚生労働大臣に届出を行う。
2 収益事業は実施することができない。
3 事業運営の透明性を高めるために,財務諸表を公表することとされている。
4 評議員会の設置は任意である。
5 福祉人材確保に関する指針を策定する責務がある。

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正解:3

平成26年から、 現況報告書と財務諸表をインターネット上で公表することが義務付けられています。見るかっていうと見る人も少ないでしょうけれど。

ここでも収益事業の話が出てきましたね。NPO法人の問題でも収益を上げることができるかという問題が出てましたね。

社会福祉法人が収益事業を行うことについては、法人の社会的信用を傷つける恐れがあるもの又は投機的なものは不適切とされています。

収益事業の具体例として、

  • 社会福祉法人の所有する不動産を活用して行う貸ビル
  • 社会福祉法人の所有する不動産を活用して行う駐車場の経営
  • 公共的施設内の売店の経営等

が例示されています。