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検証:第25回介護福祉士国家試験問題116は不適切問題か?

介護福祉士国家試験の解答速報もほぼ各社出揃っている印象です。
自己採点はいかがでしたか。
その中で、模範解答で大きく意見が割れたのが問題116です。
設問は以下のようになっています。

問題 116
Kさんは、股関節の屈曲制限があるので、便座を高くし、トイレ動作が自立できるように工夫する必要がある。
トイレットペーパーを右斜め前方に設置する場合、Kさんが便座に座った状態で、どの位置の高さにしたらよいか、適切なものを1つ選びなさい。
1 大腿骨骨頭
2 上腕骨中間部
3 脛骨中間部
4 鎖骨
5 腓骨中間部

たぶん、この問題を見ながら、
トイレに座って紙を取る動作をシュミレーションしている方もたくさんいたかと思います。
この問題、正解が、1と2とで大きく割れています。
通常、トイレットペーパーホルダーを設置する高さとしては、
トイレ座位で大腿部の高さを基本に考えるとします。
立ち上がりのために便座の高さを補う補高便座を購入したとすると、
一般的には補高便座の高さは30mmタイプか50mmタイプが販売されています。
なので、高さをかさ上げした場合、
大腿骨骨頭部よりも上、
上腕部中間部あたりが適切な高さに該当すると考えられます。
よって、正解は2と考えるべきなのではないでしょうか。
ただ、これだけ専門家の意見が食い違う問題を出題している時点で
それを適切な問題だったかといえば、
限りなく不適切に近い問題だったと思います。
トイレットペーパーホルダーの高さよりも、
手すり(L字型など)の設置位置の方が重要になるので、
むしろそちらを優先した結果、
トイレットペーパーホルダーの設置位置が変わる場合もあります。
トイレットペーパーホルダーの位置は最優先項目ではなく、
トイレットペーパーを取る動作の自立だけを考えれば正解かもしれませんが、
問題はトイレ動作を自立できるようになるため、となっています。
そういった観点でいえば、不適切問題の可能性も十分ある問題だと思います。

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