介護福祉士とは


介護福祉士とは、介護現場における実務のスペシャリストとしてつくられた国家資格です。

介護に携わる専門職の質的な向上を目指して、1987年の「社会福祉士及び介護福祉士法」を根拠法に制定された資格です。

条文の中で、介護福祉士は以下のように定義されています。

社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年5月26日)第2条第2項

この法律において「介護福祉士」とは、第42条第1項の登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき入浴、排せつ、食事その他の介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者をいう。

技術として介護を提供するだけでなく、助言や指導を含め、支援を必要とする人たちの生活をサポートする専門職として、介護福祉士は誕生しました。

介護福祉士取得のメリット

介護福祉士の資格はなくても、介護の業務はできます。介護福祉士は国家資格ではありますが、業務独占資格ではなく、名称独占資格です。

介護は介護福祉士でなければできない業務ではないのです。

では、介護福祉士の資格を取得するメリットはどこにあるのでしょうか。

現場でのリーダーとしての役割

介護職員初任者研修の資格と介護福祉士では資格取得のために要する研修時間なども大きく異なります。何より、国家試験を合格しない限り介護福祉士にはなれません。

介護福祉士になることで、施設や事業所内でのリーダーとしての役割が求められます。訪問介護の現場であればサービス提供責任者、施設などであればフロアリーダーやユニットリーダー、主任などの役割を与えられることも少なくありません。

介護福祉士は国家資格であり、介護実務のスペシャリストとして認められた証でもあります。

もちろん、転職などの際にも介護福祉士の資格を持っていることで選択できる仕事にも幅ができますし、よりいい条件で就職活動を展開することができます。

介護職専用の転職サイトなどでも、待遇の違いなどを確認していただくと一目瞭然かもしれません。

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給与の面でのメリット

資格手当を給与に上乗せしている施設や事業所も多く、さらに介護福祉士であることでサービス提供責任者などの要件を満たすことから役職を与えられ、役職による手当も発生します。

介護福祉士の資格取得までに時間と費用も掛かりますが、介護福祉士の資格を取得することで、受けられる手当などを長期的に考えると、十分にペイができ、魅力的な資格であることもわかります。

介護福祉分野でのステップアップ

介護福祉士として実務経験を重ねることで、ケアマネジャーの受験資格を得ることもできます。

また、介護福祉士の上級資格として、認定介護福祉士という資格も創設され、介護福祉士のキャリアプランの構築も可能性が広がっているように思います。

このように、介護福祉士の資格取得には介護福祉の専門職としての将来につながる様々なメリットがあることがわかります。

介護福祉士をとりまく現状

介護の仕事に就くための基礎資格は、事実上ホームヘルパー2級資格となっていました。

比較的容易に、短期間で取得できるため、圧倒的な介護労働力の供給不足を補うという意味で、
施設・在宅を問わず、ホームヘルパー資格を雇用する際の条件としている事業者が圧倒的でした。

受験資格などの条件に制限があり、国家試験もある介護福祉士資格は、その上級資格としての位置づけでした。

が、近年、介護の質の問題が大きく浮上し、介護業務に携わるための基準を改めて見直す動きが見られるようになりました。

そして、平成17年には国家資格である介護福祉士を介護業務につくための基礎資格とする方針が打ち出されました。

詳細は以下をご覧ください。

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介護福祉士国家資格取得へのハードル

介護福祉士になるためには複雑な要請ルートがあり、実務者研修の受講なども必須になっています。

研修受講の費用や期間など、介護の基礎資格として介護福祉士にはハードルが高く、現実的には介護職員初任者研修がスタートアップ資格として定着しています。

介護福祉士は介護の専門職としてのステップアップという位置づけになっています。

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介護福祉士、その魅力とは

平成30年度の時点で、介護福祉士の登録者数は1,624,829人。

国家試験の合格率は、その年度にもよりますが、ここ最近ではおよそ6割程度です。

介護福祉士は資格創設以降、急激にその登録者数を増やしてきました。

その背景には、急速に進む高齢化社会で、介護の専門化を必要とする市場のニーズだけではなく、介護という仕事に魅力を感じ、自身の技術や資質を向上させる意欲にあふれた介護の担い手が増えていることがあげられるのではないでしょうか。

ここ数年、介護福祉士を目指す若者は少なくなっており、介護福祉士養成校は定員割れや廃止などが増えています。

介護職員の処遇改善のための施策が積極的に行われています。令和元年10月には介護職員処遇改善加算に、上乗せとなる介護職員特定処遇改善加算がスタートします。介護職員の配置数だけでなく、様々な要件から評価され、特にベテランの介護福祉士に手厚く給付がされるようになる見込みです。介護福祉士とケアマネの給与は逆転し、介護福祉士の給与の方が高くなるのではないかと言われています。

介護の業界における人材不足で介護福祉士はどこも引く手あまたです。求人の際の価値は非常に高いといえます。

今後、さらに介護福祉士が人のあこがれになる仕事になるように、願いたいと思います。

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